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原麻衣子のコラム「ヒトコトワリ」vol.3〜「自分ごと化」と「自己成長」の関係

2022.07.25 投稿

 本格的に夏が始まりました。セミの声は朝から鳴り響き、暑さに翻弄される日々が訪れるとともに、子供達は夏休みへ。小さい頃の夏休みの思い出と言えば、海水浴や花火など数え切れないほどたくさんありますが、何と言っても印象に残っているのが「七夕のお祭り」です。

 全国的には七夕=7月7日ですが、私が幼少期を過ごした北海道では8月7日を七夕としている地域が多く、この日にお祭りをすることも珍しくありませんでした。そして、七夕の名物といえば、「ローソクもらい」の光景です。「ローソクもらい」とは、子供が「ローソク出せ、出せよ〜。出さないとかっちゃくぞ〜。」(かっちゃく=北海道の方言で引っ掻く)と歌いながら近所の家をまわり、お菓子をもらう風習です。どことなく、ハロウィンに似ているかもしれませんね。

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 前置きは長くなりましたが、先週末、私が住んでいる町内会主催のお祭りが開催されました。規模を縮小して開催するなど様々な課題もありましたが、「開催してよかった」と思うのは、やはり、子供たちがとても楽しそうに過ごしている姿を見ることができたときでした。それまでの準備が報われたと思う瞬間でもあります。

 お祭りでは、「ストラックアウト」というゲームがありました。「1」から「9」の番号が書かれた的を目掛けてボールを投げ、的を抜くゲームです。1球目から上手に的を抜くことができる子ども、1球も当たらず残念そうに帰っていく子ども、その様子を見ながら励ましたり声をかけたりと、こちらも一緒になってゲームをしている気分になることができました。

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 さて、このストラックアウト、皆さんは1球投げて当たらなかったとき、どのように思われるでしょうか。

「よーし、次は少し右に投げてみよう」

「投げるときに、あと一歩、踏み出してみよう」

など、次の1球を投げるための工夫を考えていたのであれば、それは、球が当たらなかった原因が自分にあると捉えていることになります。それを努力によって変えることができると考えた結果、「次はこうしよう」と行動につなげているのです。

 反対に、

「当たらなかったのは、たまたま風が吹いたからだ」

「このボールとは相性が悪い」

と考えていたのであれば、原因は自分以外にあると捉えていることになります。この場合、自分を変えようとする努力には結びつきにくく、「運が良ければ当たるだろう」というような周りの環境に期待しかなくなります。

 このように、「上手くいかない」と思ったとき、その原因を自分と自分以外のどちらに置くのかによって、同じ事実であってもその後の気持ちや行動は大きく変化します。どちらが自分の成長を促してくれるのかというと・・・前者の方ですね。ただし、全ての出来事を自分に原因があると受け止めてしまっては自己肯定感が大きく低下してしまう要因にもなってしまいます。上手に使い分けながら、出来事を「自分ごと」として捉える範囲を広げていくことは、自分の成長を後押ししてくれる大きな力にもなってくれることと思います。

■執筆:原麻衣子
株式会社エイドドア人事アドバイザー

北海道札幌市出身。北海道大学卒。大学卒業後、外資系製薬会社を経て、公的病院で人事労務等を担当。その後、病院、クリニック、介護施設を中心に人事制度や評価制度の導入・運用コンサルティングや研修講師として活動している。