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原麻衣子のコラム「ヒトコトワリ」vol.15もらう側から与える側へ〜成長を加速する意識の変化〜

2023.11.04 投稿

 ちょうど先月、自分にとっては嬉しい出来事がありました。それは何かというと、これまで人事や労務に関する仕事に携わってきて、何かしら次にステップアップしたいという気持ちを抱えていた中でトライした社会保険労務士の試験に合格することができたことです。

 大学院へ行きながらチャレンジしたため、なかなか時間が取りにくくはありましたが、その分、時間のやりくりは上手になったような気がしています。時短や生産性の向上が叫ばれる中、効率的に進めるスキルは今後も役立ちそう!と思っています。

 今後は、士業としての経験も積みながら、多くの方々に良い影響を与えることができるよう尽力していきたいところです。

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 さて、このような「社会や地域、他者に貢献したい」「自分ができることがあれば、積極的にやりたい」といった『誰かのために何かをしたい』と考える人をここ最近、人に何かしら与える人という意味を込めて、giverと言われるようになりました。困っている人や経験不足の人がいれば惜しみなく助け、アドバイスをする存在であり、何事も自分ごととして捉える傾向にあるので、周囲から信頼を得ていることが多いのが特徴です。

 反対に、「自分のやりたいことや利益ばかりを優先させる」「自分からは動かない」「何かをしてもらってばかり」の人は、自分から何かを与えることはなく、権利を主張するタイプという意味合いで、takerと言われています。他責思考で、何かをしてくれることが当たり前と考える傾向にあるため、短期的な成果は出せるものの、持続的な成果は望みにくく、「あの人は、本当に自分のことしか考えていないよね」「言われたことしかやらない」と、周りからの信頼は得られにくいとされています。

 皆さんの職場や周りに、

 人が足りないから○○ができません

 ○○してもらわないと困るんですけど

 それって、何の意味があるんですか

と、口癖のように言っている人はいませんか?このような発言が多い場合は、いわゆる受け取る側(taker)であることが多く、病院や施設への愚痴や周りへの嫌がらせ、給料と見合っていない働きをしていることが珍しくありません。

 これがもし、与える側(giver)が多い職場だったらどうでしょうか。

 誰かのために何かをしたい

 より良い成果を出すために協力しよう

 自分の持てる知識やスキルを活用して欲しい

と考える人が多いため、知識の共有や協力関係が構築されやすく、仕事も進めやすくなります。また、意図的ではなかったとしても、「人は何かをもらうとお返しをしたい気持ちになる」という返報性の原理が当てはまることも多く、後々、より大きなリターンとして返ってくることもあることと思います。

 皆さん自身は、いかがでしょうか。

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 もし、他責になりがちであったり、自ら動く機会が少なかったり、アレがないコレがないとつい愚痴を言っていたり・・・そのような場合は、与えられる環境に慣れ過ぎてしまっているかもしれません。意識的に自ら変えようと努力をすることで、周囲からの見られ方も変わってくるかもしれませんね。

■執筆:原麻衣子
株式会社エイドドア人事アドバイザー

北海道札幌市出身。北海道大学卒。大学卒業後、外資系製薬会社を経て、公的病院で人事労務等を担当。その後、病院、クリニック、介護施設を中心に人事制度や評価制度の導入・運用コンサルティングや研修講師として活動している。