マネジメントリーダーリレーインタビュー

全国で活躍しているPT、OT、STの現役リーダーの皆さんの“今の声”をお届けします。
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マネジメントリーダーリレーインタビュー

やわたメディカルセンター 病棟主任 橋本 恵さん

2021.03.20 投稿

応援インタビューでアップしたやわたメディカルセンターリハビリテーション技師部長の後藤伸介氏からご推薦の同院病棟主任で理学療法士の橋本恵さんにインタビューいたしました。
 ※やわたメディカルセンター後藤伸介氏のインタビューはこちら
後藤部長からは、
✅ 常に患者さん中心に考えてくれている
✅ 誠実で、スタッフにも親身に指導、サポートしてくれている
とのイチ押しなコメントもいただいております。

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◎橋本さんの所属の病院はこちら
 特定医療法人勝木会やわたメディカルセンター

◎橋本さんのプロフィール
<現職>
やわたメディカルセンター リハビリテーション技師部 3階病棟主任

<ご経歴>
2006年 新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 卒業
同年  やわたメディカルセンター就職
2011年 芦城クリニックに配属
2013年 訪問看護ステーション リハケア芦城に配属
2016年 芦城クリニックに配属
2017年 やわたメディカルセンター(回復期リハ病棟)に配属
現在に至る

<主な資格>
2016年 日本訪問リハ協会 認定訪問療法士
2019年 回復期リハ病棟協会認定セラピストマネジャー

    

◎理学療法士になられたきっかけをお教えください。

きっかけは、高校の剣道部のマネージャーでの経験です。

当時、怪我をした2つ上の先輩がいまして、最後の大会には出られないということがありました。それでも、その先輩は明るく振る舞っていて、常にムードメーカーのような役割を担っていらっしゃったのですが、マネージャー業務を手伝ってくれた時に、「大会出たかったな」と本音を漏らしたことがあったのです。

それを聞いた瞬間に、ずっしりと重く感じ、その時に私は何もできなかったのがずっと心残りでした。
後に、その先輩が外来リハビリに通っていると聞いたときに、怪我をして人生の方向が変わる方を支える仕事があるんだと興味を持ったのがきっかけでした。

    

◎リーダー(主任)になりたての時、壁にぶつかったこと、それをどのように克服したのかをお教えください。

当時は壁と認識してなかったのですが、振り返ると壁の一つであり今も重要なテーマになっていることがあります。
それは、私が配属されている回復期病棟、つまり多職種がいる中で起こったことなのですが、療法士が患者さんのためによかれと思ってやったことが、結果的に、患者さんをより落ち込ませてしまったことがありました。

私はそのスタッフが「こういうことをやろうと思う」とは聞いていましたし、考えを聞いた上で取り組んでみたらよいのではないかと話をしていたのですが、その出来事に対して看護部の方から「なぜこれを行ったのか」、「それは有効だとどのように判断したのか」と問われてしまいました。
療法士のスタンスとして行なったことではあったのですが、一方で、他の職種から見てどうなのか、他の部署との折衝力が根底になかったとその時に気づきました。

今は、うまくいっているかといったら自信はありませんが、かなり折衝することを意識して他の部門とやりとりするようにしています。

     

◎看護部やメンバー、他の職種との関係性で気を付けていることがあればお教えください。

メンバーとの関係性で意識的に気を付けていることとすれば、会話をする上での主語を基本的に相手におくことです。話の軸を相手におくことを心がけていますね。

私は話をするのが好きなので、つい、自分の話になりがちです。なので、まずは相手を軸において話を聞くことを心がけるようにしています。
しかし、スタッフには管理者像というのがあるので、何を話したらよいのかわからないという場合には、「例えば、自分だったらこういう風にしたり、考えてみたりする」と伝えた上で、基本的には相手を主軸においた会話をするようにしています。

自分も上長と話をしていて思うのですが、話をしながら自分が何を考えていたのかが整理されることがあります。自分が話すということをきっかけに、思考過程を整理することができるので、結果的に、何が言いたかったのか見えてくることはあるのかなと思っています。

メンバーとのミーティングの様子

◎橋本さんは理学療法士ですが、作業療法士、言語聴覚士のメンバーとの関係性で気を付けていることがあればお教えください。

私は理学療法士ですので、他の職種の専門的な知識や評価方法については乏しいこともあり、基本的には、一職種としてどう考えるのかを純粋に、そして、客観的に聞くように気を付けています。そのスタッフの思考過程を聞くようにするということですね。   

また、PT、OT、STそれぞれの人数によるパワーバランスも気を付けています。人数が多いと活気もありますが、逆に、人数の少ない職種には、意識的には話しかけるようにはしています。業務負担も大きくなりがちなので、その辺りは気をつけています。

   

◎リーダーとして、これだけは身に着けておいたほうがよい、経験しておいた方がよいと思うことをお教えください。

経験しておいてよかったと思うことは、2つあります。
1つ目は、いろんな逆境や逆風が起こると思うのですが、状況に流されずその中でどうしていくのか、逆境を一つの機会と捉えて今までのやり方を変える、もしくはせざるを得なかったというのは、よい経験だったと思います。

もう1つは、圧倒的に量的な仕事をたくさん経験することがとても重要だと思っています。療法士なので、例えば患者さんの数などになります、圧倒的な量を経験すると、その中でどのように整理したらよいのだろうと考えられるようになります。なので、質をと思う前に、まずは量を経験できることは重要かなと思っています。

たくさんの業務量を経験する中で、整理し、他のスタッフに業務を委譲することができるかどうかが1つのキーになってくると思いますので、スタッフにとってもリーダーにとっても重要なことではないでしょうか。

     

◎リーダーとして活動されているときに軸としていることはありますか。

折衝力は大事だと思っています。更に、折衝するときの大事なことの1つに、謙虚であることが大切だと思います。相手のことをできるだけ客観的に把握することですね。相手のいいところを見つけた時には自分の成長にもなると思いますので、折衝力のキーに置いています。

また、「患者さんのために」ということが軸になっていますね。患者さんをどう主体的に支援していくのかということは、常にスタッフと共有するようにしています。情熱的なスタッフであればあるほど、自分が何をするかということを考えがちなので、「自分が」ではなく、「患者さんのため」に、患者さんがどうなって欲しいから自分たちは何をするのかということを常に共有しています。

◎自分を元気にすること、自己啓発についてお教えください。

私は、一日のうち仕事のことしか考えない脳になりがちなので、できるだけ仕事以外の時間には、仕事以外の分野の情報を取るようにしています。また、本が好きで文庫本を読むことが多いのですが、そこから全く違う時代背景を通じて吸収し、知見を広げることを心がけています。最近読んだ印象に残っている文庫本は、原田マハさんの『本日は、お日柄もよく』(徳間文庫)という本です。言葉を大事にしている職業の話ですが、言葉の力はすごく大きく、人に話をする時の言葉の選び方はとても重要だと思いました。

    

◎ご自身を元気にするとき、どうされていますか。

感情を大きく動かすとリセットされるというか、リフレッシュできるというのは体感的にあるので、ドラマを見て泣くとかありますね。
また、趣味が体を動かすことなので、疲れるまで走ったり、筋トレをしたりすることもありますね。

あとは、やっぱり臨床の現場です。患者さんを担当することもすごく楽しくて、元気になる1つの手段です。
以前、訪問リハビリに従事していた時期があり、色々な人生を過ごされている方を見てきました。その時に、「こういう考え方でもいいんだな」、「こういう人生で幸せなんだな」ということを知り、それがきっかけとなって、自分が今、置かれている状況が不幸ではないんだと、見解も広げられるようになりました。それは、訪問リハビリの利用者さんたちのおかげだと思っています。

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【インタビュー後記】
 「きっと素敵なセラピストリーダー」なんだろうなぁとワクワクしながら臨んだインタビューでした。橋本さんは、思った以上に、しっかりとした軸をお持ちでマネジメント業務にあたっていらっしゃることが伝わってきました。
 また、橋本さんのインタビューにお応えになる話し方は、整理されていて、わかりやすく伝えてくださいます。リーダーに必要なスキルの一つに「わかりやすく話すスキル」があると思いますが、橋本さんは相手がどう思うかという、相手主体で話してくださるからこそなのだと思います。
 素敵なリーダーにお会いできました☆
 橋本さん、ますます輝くリーダーになってくださいね!

編集長 下田静香