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原麻衣子のコラム「ヒトコトワリ」vol.7〜昨日より一歩進んだ仕事をするために〜伸びしろの見つけ方~

2022.12.29 投稿

 早いもので、残りわずかとなりました。コロナ禍もあり、数年前からは考えられないほど世の中が変化していますね。急激な変化は、自分で上手く対応できているように見えても、後から心身にしわ寄せがくることもあります。時には、リラックスできる時間を敢えて取ることも必要なのかもしれないと、自分自身にも言い聞かせている今日この頃です。

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 さて、今回は「伸びしろの見つけ方」についてです。

 職場において、「もう10年目になるのに、一向に成長が見られない」「もっと、責任感を持って仕事をしてもらいたい」との声を耳にすることがあります。一見、現状に対して否定的とも捉えられる発言ではありますが、その裏側には、「〜して欲しい」「〜するべきだ」という期待が見え隠れしています。現に、度重なる成長の機会を設けたものの、一向によくなる兆しがない場合は、落胆するとともにどこか諦め、「〜して欲しい」と思う気持ちが希薄になってしまう傾向にあることが良い例です。

 相手にこうして欲しいと期待を持っている場合、ある程度、自分の中で理想とする姿を設けていることが多いように見受けられます。例えば、入職して1年目であれば一通りのことができるようになってもらいたい、5年目であればリーダーシップを発揮しながら後輩の指導もしてもらいたい、などです。そして、こちらが期待することと相手の考えや成長との間にギャップがあるときこそ、そのギャップが成長のポイントであり、伸びしろでもあると思うのです。

 しかし、中には仕事を続けていても、一向に成長する兆しが見えないこともあります。そのような場合、次のような考え方や行動をしていることが多いのではないでしょうか。

  • 言われたことだけを淡々とこなしている
  • 自分さえ良ければいいと、周りのことを考えていない
  • 言い訳や妬みなどが多い
  • 原因がどこにあるかではなく、その場をどう取り繕うかを考えている
  • 居心地の良い環境に身を置いて、そこから一歩抜け出す気持ちがない

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 では、成長すべきポイントに気づき、もっと伸びていくためにはどのようなことに気をつけたら良いのでしょうか。それには、自分自身が置かれている状況を客観的に把握し、理想とする姿やあるべき状態について考えることが第一歩となります。状況把握や理想については、「視野」「視点」「視座」の3つの観点から考えると良いでしょう。

 「視野」とは、見えている広さのことを指します。自部署や自分が抱えている仕事だけではなく、病院や施設全体もしくは地域の動向まで目を向けてみると、違った景色が見えて自分がやるべきことを見つけるきっかけになることでしょう。

 「視点」とは、見る場所や観点のことを表しています。例えば、経営状況の観点から見ると良い病院であったとしても、見る角度を変え、組織や人材という観点から見ると、人材不足で職員が常に疲弊しているかもしれません。複数の視点から見る癖をつけておくと、思考の偏りを防ぐことができます。

 「視座」とは、物事を見ている立場のことです。同じ事象を見ていても、管理職や経営層の立場からすると、一つの部署だけではなく、病院や施設全体を見て判断しなくてはなりません。そのため、視座を高めることで、自分だけが良ければ問題ないという考えから脱却する糸口にすることができます。

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 仕事をする時間というのは、私たちの人生の大半を占めています。だからこそ、せっかくなら自分自身の糧とし、成長する機会にすることで、より良い過ごし方ができるのではないかと感じています。

■執筆:原麻衣子
株式会社エイドドア人事アドバイザー

北海道札幌市出身。北海道大学卒。大学卒業後、外資系製薬会社を経て、公的病院で人事労務等を担当。その後、病院、クリニック、介護施設を中心に人事制度や評価制度の導入・運用コンサルティングや研修講師として活動している。