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医療崩壊の報道から想うこと~急性期でのリハビリテーション機能の強化を~《斉藤 秀之氏連載シリーズ vol.2》

2021.02.07 投稿

「COVID-19による医療崩壊」が世間を騒がせている。CIVID-19で命や暮らしを守ることは言うまでもなく、そのために日々献身的に奉仕されている医療・介護・福祉に携わる方々やエッセンシャルワーカーの皆様には改めて敬意を表したい。にもかかわらず、その猛威のために命を落とされた方々や後遺症に悩まされる方々やご家族の皆様にはお見舞い申し上げる。

「発症後の病床不足」、「転院先となる後方支援病床を確保できない」、「医療崩壊を防ぐには予防の徹底」、「自宅療養で命を落とす」といった報道が頻繁に目に留まる。つくづく思うことは、少子高齢・人口減少社会となるわが国の国策である地域医療計画とともに、2025年をターゲットイヤーとして進めている地域包括ケアシステムの構築・推進の絵姿が目の前に来てしまったということである。

発症後の病床不足について、公的病院のみでは追いつかないという事実のなか、大阪府の専用病院設置は素晴らしいと思う。一方で、病床数、設備や医療専門職などの医療資源はリッチなDPC病院や地域支援病院という大病院は、日本各地に位置する制度となっている。2021年2月4日付けの日本経済新聞で、「コロナ患者を受け入れるより外科手術を1件やった方が経営にはプラス」、「民間は長期入院している高齢者が多く、簡単にベッドを空けてくれない」という報道があった。機能に応じた手厚い診療報酬がついている平時の医療が、国難とも言えるときに機能しないことは何という因果であろうか。

重症化したCOVID-19患者の急性期治療において、看護師4~5人で呼吸器合併症予防のケアをしている映像を多くみる。その映像を見る限り、呼吸理学療法の標準である呼吸器合併症予防の体位ドレナージと思われる。こうした病院は、7対1看護体制が多く、わが国で病床当たり最も看護師配置が重厚である。にもかかわらず、看護体制が困窮しているとの声は少なくない。かつ、こうした病院の多くは公的病院が多く、リハビリテーション専門職の配置が病床数に対して少ないことが一般的である。

365日24時間体制で従事する看護師の皆さんには、リハビリテーション専門職には実施できない業務、専門技術が多くある。急性期病院の方々は、多くの命を救うためにも、重症化を予防するためにも、理学療法士を積極的に活用すべきではないかと強く訴えたい。DPC制度、7対1看護に加え、リハビリテーション専門職を回復期リハビリテーション病院に相当する体制にしている先駆的病院の在り方を今こそ拡めていくべきであろう。

しかしながら、この話は今に始まったことでない。今までも急性病病院のリハビリテーション機能の強化は繰り返し議論されているが、結局は法やヒエラルキーにより泡と消えている。そのため、回復期リハビリテーション病院が制度化され、早期受け入れが目的の1つであったはずである。

次回はその点にも触れたい。



執筆: 
斉藤 秀之(さいとう ひでゆき)
(回復期リハビリテーション病棟協会PTOTST委員会委員長 筑波大学グローバル教育院教授)