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原麻衣子のコラム「ヒトコトワリ」vol.6〜「相手の期待に応えられるような仕事をしていますか」

2022.11.13 投稿

 先日の朝、ふらっと近所にある某コンビニエンスストアを訪れたとき、普段は陳列されていない商品に目が止まりました。一見すると普通のサンドウィッチに見えるのですが、よくよく見ると中身が真っ白なのです。「一体、何が挟んであるのだろう」と目を凝らして見ると、なんとホイップだけのサンドウィッチでした。

 普段、甘いものはほとんど口にしないのですが、生クリームだけは私にとって別格です。そのため、とても斬新な商品であると驚きを覚えるとともに、「こんなサンドウィッチを待っていた!」と、かゆいところに手が届くような感覚すら覚えました。これは、ある一つの商品に関する個人の感想ではありますが、仕事を進める上でも重要な点が見え隠れしているように感じています。

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 「あの人は仕事ができる」「あの人に任せておけば大丈夫」という会話はよく見受けられますが、そもそも「仕事ができる」とはどのようなことを意味しているのでしょうか。仕事ができるとは、「相手の期待に応え、継続的に結果を出し続ける」ことだと言い換えることができます。

 例えば、会議で使う資料の作成を依頼されたとします。せっかくなら良いものを作ろうと、時間と労力をかけて工夫を凝らし、資料を作り終えたとしても、それが期日に間に合っていない、相手が望んでいる内容とはズレが生じていた場合は、相手の期待に応えていないことになります。一度ならずとも、それが何度も繰り返されると、やがて「あの人は仕事ができないから」とのレッテルが貼られてしまい、重要な仕事を任せてもらえなくなるかもしれません。反対に、相手が期待や望む結果を口にしていなかったとしても、それを推し量りながら期待に応えることができれば、仕事も円滑に進めることができるばかりか信頼関係の構築にもつながります。

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 では、継続的に結果を出し続けるためには、何をしたら良いのでしょうか。計画を立てて実行し、それを振り返りながら改善していくPDCAサイクルをまわし続けることはとても大切です。ですが、そこにもう少しプラスして、「最終的にどのような状態を望んでいるのか」「その仕事をする意味や背景」まで把握しておくと、より良い仕事につながります。先ほどの資料作りを例にとると、資料を作る理由や使用する場面をあらかじめ確認しておくことで、「依頼された内容以外に、盛り込んでおくべき事柄はないだろうか」「ここは詳細に記載しておいた方が良いかもしれない」という思考につながっていくのです。

 ここまで想像しながら仕事をすると、相手にとってはまさにかゆいところに手が届いている状態です。「ここまで調べて作ってくれてありがとう」「あの資料があったから、良い結果が得られた」と、期待をはるかに上回る成果に対して、感動すら覚えるかもしれません。

 相手の目的や望んでいる成果を知るためには、日頃のコミュニケーションや情報の共有が欠かせませんが、それでも曖昧な場合は、いっそのこと直接、確認してみると良いでしょう。「つまり、こういうことでしょうか」と聞いてみることでお互いの認識のズレを埋めることができますし、ミスの発生防止にもつながります。

 今回は、仕事を進める上で欠かせないPDCAサイクルに加えたいエッセンスについてお伝えしました。どのような仕事であっても一人では成り立たず、チームや組織内外との関わり合いや協力は必要不可欠です。だからこそ、相手の期待を推し量り、そこに応えることで仕事を円滑に進めることができるのだと思います。

■執筆:原麻衣子
株式会社エイドドア人事アドバイザー

北海道札幌市出身。北海道大学卒。大学卒業後、外資系製薬会社を経て、公的病院で人事労務等を担当。その後、病院、クリニック、介護施設を中心に人事制度や評価制度の導入・運用コンサルティングや研修講師として活動している。